定冠詞の使い方 ー英語論文の書き方ー

私自身帰国子女ではありませんし、英語がペラペラということももちろんありませんが、英語を書くこと、特に研究論文のwritingにはそこそこ自信があります。若い大学院生・研究者の皆さんには役に立つ記事も書けるだろうということで、英語論文を書く上で私が大事だと思うこと、参考になりそうなことをまとめています。

今回は日本人にはなかなか難しい冠詞の使い方についてです。

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英語論文は定冠詞だらけ

出版されている論文を読むと分かりますが、定冠詞 “the” がたくさん使われています。これは、英語論文ならではの理由もありますし、そもそも英語ってそういうものでもあります。その理由について確認しながら、英語論文における定冠詞の使い方について考えていきましょう。

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定冠詞の用法

私の手元にある「表現のための実践ロイヤル英文法」の中には、定冠詞の基本的用法として下記の4つが挙げられています。

  1. 前に一度出た名詞につける
  2. 文脈やその場の状況から特定できる名詞につける
  3. 常識的にただ一つしかない名詞につける
  4. 修飾語句がついて限定される名詞につける

2や3の用法はやや特殊なのでここでは考えなくていいと思いますが、皆さんが定冠詞”the”と言われて思い浮かぶ用法は1ではないでしょうか?

しかし、私は英語論文で使われている”the”はほとんどが4であると思っています。以下でそのことについて説明します。

既出の名詞にtheを付けるか?

英語論文において既出の名詞にtheを付けるかと言えば、もちろん付けます。しかし、本当に前の文で出した名詞を具体的に指示したいのであれば、下の文のように指示代名詞を使う方が意味も明確で分かりやすいと思います。

**** undergoes a metal-insulator transition at *** K. This transition is characterized by ,,,,,,

theを用いた文章は当然ながらThisよりも漠然としたニュアンスになります。名詞が再出していることに強い意味があるならば指示代名詞の方がよいですし、逆に特に意味がないのであればtheの方がいいと思います。実験項でよく出てくるのではないでしょうか。

The solution of **** was prepared in a flask. The flask was immersed in water to form *****..

上の例文ではフラスコを使って溶液を作成しており、そのあとの作業に関しての説明でフラスコが再出しています。フラスコを使用していることに特に強い意味がないならば”the”を使うでしょう。

修飾語句で限定される場合

限定しないと不明確な名詞が多い

科学英語論文において修飾語句で限定される名詞が多い理由はその単語だけでは意味が分からない抽象的な単語が使われることが多いからです。

そのような名詞の中で最も使われていると思われるのが”result”です。例外はあるでしょうが具体的な結果を示す場合に、a resultと不定冠詞を使うことはほぼありません。なぜなら、日本語で考えても分かると思いますが、「結果は***でした」と言われたら、何の、何についての結果なのか分からないから修飾語が必要だからです。

もしX線回折の結果であれば”the results of XRD”や”the XRD results”と表記します。おそらくこれだけでも不十分で、XRDで何を測定したのかも気になるでしょう。”the XRD results of *** powders”, ” the XRD results of *** films”のようにさらに修飾語句を加えることになると思います。

resultの他にも似たような使われ方がする名詞があると思います。ざっと挙げると”change”, “property”, “investigation”, “limit”などなど、1語では意味が曖昧な単語が論文では多く使われているでしょう。

既出の名詞に指示代名詞を使う理由でもある

前出のtransitionという名詞も単独では非常に意味が抽象的な名詞です。通常は修飾語句が必要でしょう。このため、”the transition”と書かれると後ろに前置詞句が欲しくなります。

これに対して、”this transiiton”と書いてあれば、直前で書かれたtransitionを示していることがはっきりと分かります。たとえ既出であっても直前に書いてある内容でなければ”the transition of *****”と修飾語句を加えるべきです。日本語の感覚であると少しくどいですが、英語ではくどいぐらいに書きます

学生さんの英語を見ていると、既出の単語に対して修飾語句を省略する傾向にあります。気を付けましょう。

まとめ

修飾語句由来の”the”の存在を認識する

学生さんと話していると、そもそも修飾語句で限定されることによって”the”が付くという用法を知らない人がたくさんいます。まずはそこから意識しましょう。意識するとtheを付けなければならない名詞がたくさんあることに気が付くはずです。

修飾語句が必要か考える

前述のとおり、英語論文では1語では意味が抽象的すぎる単語が多く使われます。また、英語は日本語に比べ修飾語句を省略しないことも意識しましょう。

名詞をみたら気を付ける

英語の名詞には気を付けなければならないことがたくさんあります。今回は扱っていませんが、可算名詞であれば不定冠詞をつけるか、複数形にするか考える必要がありまし、今回扱った定冠詞を付けるべきかどうかの判断も必要です。

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