それっぽいグラフの作り方と効率化 ーIgorの使い方ー

これは研究分野にも依るようですが、学会発表や論文発表に耐えうるグラフ図面を作成するためには専用のグラフソフトを使うことが一般的です。私はIgorというグラフソフトを愛用しています。ものすごく高度な使い方をしているわけではありませんが、単にグラフを作成するだけでなく、解析の自動化をするマクロの作成など、データの解析に利用しています。そのノウハウについてブログで紹介しようと思います。

今回はIgorを用いたグラフ作成において、学会発表や論文発表用のグラフを作る時の見た目の整え方とそれを効率的に行う方法について説明します。

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グラフの表示

まず、デフォルトでグラフを表示させてみましょう。X軸、Y軸に使う適当なデータを用意してください。

メニューバーのWindows→New Graphを選ぶと下の図のような画面が出ます。

右側でX軸、左側でY軸のデータを選びます。これだとデータを一つしか入れられないので、真ん中のMore Choicesを押すと下の画面になり、一度に複数のデータを含むグラフが作れます。

ここではwave0をX軸に選び、wave1をY軸に選んでAddを押し、Do itボタンでグラフが作成できます。

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見た目の整え方

いま、デフォルトの設定でグラフを表示させたものが上図になります。適当に作成したデータです。

このまま研究報告に使ったら怒られるでしょう。もちろん、論文には使えません。

変更箇所はどこか

まずはこのグラフのどこを変更すべきか確認しておきます。

軸の名前の追加

まずは当然ですが、軸の名前がありませんので、追加する必要があります。

軸の表示形式の変更

論文などで用いられる図は、軸が逆側にも配置されており、四角い枠のようになっていることが多いです。また、目盛りの線は内側に配置するのが普通でしょう。

目盛りの数字の大きさを大きくする

デフォルトの大きさだと数字が小さくて見にくいです。まぁ、Igor上でWindowの大きさを小さくすれば、相対的に数字も大きくなりますが。

折れ線の太さも太くする

たまに論文で異様にグラフの線が細い図面を目にすることもありますが、あれはグラフソフトのデフォルト設定のままであったり、測定装置から出力された画像をそのまま使っていて、その設定が細かったのだと思われます。

いずれにしろ、細い線は非常に見にくく、論文の印象も悪くするので、線の太さも適切なものを使いましょう。

具体的な修正方法

上記の修正はグラフ上をダブルクリックすることで行えます。グラフの表示領域のダブルクリックと軸付近のダブルクリックの2種類あります。

グラフの表示領域の修正

グラフの表示領域をダブルクリックすると下記のようなWindowが表示されます。

左下のLineの下にあるSizeの数字が線の太さです。グラフによって2-3ぐらいの値を使うといいと思います。その下のStyleでは点線や破線などを選ぶことも出来ます。

線の色を変えたければColorから選びます。他にも機能がありますが、今のところこれぐらいでいいでしょう。今回はSizeを2にしてDo itで確定します。

軸領域の修正

今度は軸の表示のあたりでダブルクリックします。以下のような画面が出るはずです。失敗したらダブルクリックする位置をずらしてもう一回やってみてください。下の画面ではAxis Rangeのタブが表示されていますが、ダブルクリックの場所によっては別の画面かもしれません。

それでは修正を始めましょう。

まずは、Axisタブを選び、上記の画面のMirror Axisをoffからonに、FontのSizeを18に設定します。Mirror Axisというのが逆側の軸のことです。

まだDo itは押さずにTicks and Gridsタブに移動します。

LocationをOutsideからInsideに変更します。これで目盛りが枠の内側にきます。

次にAxis Labelタブを選びます。

上記の画面の上側のWindowが入力画面で、下側が表示のプレビューです。

ここで

\Z24 X axis (unit)

と入力してみてください。\はWindowsならば半角の¥を入力すればよいです。

X axisとunitには自分のデータで使うラベルと単位を書いてもらえば大丈夫です。

\Z24はフォントサイズのコマンドです。左のプルダウンメニューからも入力できますが、これぐらいは覚えてしまった方が早い気がします。数字を変えることでフォントの大きさを変えられます。

Y軸に関しても同じ操作を行う

次に一番左上のBottomと書いてあるプルダウンメニューからLeftを選んでください。BottomがX軸、LeftがY軸です(正確にはY軸を二つ以上設定することも可能なので、leftという表記になっています。右側に軸をもう一つとる場合にはrightが追加されます)

このleftに関しても上記と同じ作業を行ってください。

最後に、Do itを押します。

修正後のグラフ

上記の作業を行い、グラフのWindowの大きさを適当に調整すると下の図になります。

データが一つで寂しいですが、とりあえず見た目は整いました。

ここまでくると、「え?普通に面倒くさいんだけど?エクセルと変わらないじゃん。大人は嘘つきだ」と思われる方もいるかと思います。確かに、ここまでの修正方法はエクセルと煩雑さが変わらないかもしれません。

Igorの便利なところはここからです。

Command Windowを見てください。下記のような表記がされていると思います。

*ModifyGraph lsize=2
*ModifyGraph tick=2,mirror=1,fSize=18;DelayUpdate
*Label left "\\Z24Y axis (unit)";DelayUpdate
*Label bottom "\\Z24X axis (unit)"

このコマンドをコピペで使えるのです。

コマンドを用いた修正

もう一度wave0, wave1を使ってデフォルトのグラフを作成してください。

その上で上記のコマンドをコピーして、Command Windowの一番下の入力箇所にペーストし、Enterボタンを押します。

同じようにグラフが修正できたことが確認できたでしょうか?

このように、グラフの修正を使いまわすことができます。このコマンドを保存しておけば、同じ測定のデータを修正する際には毎回使えます。

Igorのnotebookとして保存しておくと便利

さらにこのコマンドをIgorのnotebookに保存しておくと便利かと思います。

メニューからWindows→New→Notebookを選びます。plainかformatted textかの選択はformatted textを選んでください。

上図のような画面が出ますので、ここに先程のコマンドをコピー&ペーストします。

メニューからFile→Save Notebook asを選び保存します。
このメモはIgorで開くファイルになっているので、Igorを立ち上げる際に、プログラムからではなく、このメモをダブルクリックして立ち上げれば、コマンドを使う際に便利になります。

まとめ

本記事では、Igorでデフォルトのグラフを修正する方法を解説しました。また、その修正方法は実はコマンドで行われており、そのコマンドを使いまわすことで作業の効率化ができることも解説しました。

実はIgorの作業はそもそもこのコマンドで行われており、ほとんどの操作がコマンドから行われます。このコマンドを使ってマクロを作成することが可能なのですが、それはまた別の記事で扱います。

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