本記事では、将来研究者になりたい(大学企業問わず)という受験生や現役大学生に向けて、とある旧帝国大学で教員をしている私の私見を述べたいと思います。

やはり旧帝+東工大
言うまでもないことですが、日本の大学における研究を引っ張っているのは旧帝国大学と呼ばれている7大学(北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州)です。これに東京工業大学を加えた8大学が日本で先進的な研究を行っている大学です。もちろん、素晴らしい研究をしている先生はどの大学にもいますが、それはその人個人の力量という印象で、高いレベルで研究を行いたいというのであれば、この8大学に所属するのが確実です。
旧帝の間でのレベルの差は(思っているより)少ない
一方で、日本においては東京大学や京都大学の二大学が特別なブランドイメージを持っていると考えている方も多いと思います。確かに、大学入試試験の段階ではこの二大学が最高峰になっていますが、その入試の難易度の差ほど研究レベルには差がないというのが私の印象です。
現役の研究者の立場から言えば、旧帝国大学や東工大において自分の研究室を持つというのが全ての研究者のあこがれで、目標であると思います。このことについては東京大学や京都大学と他の帝国大学、東工大との間にそれほど差がなく、チャンスがあればどの大学でもOKだと考えている人が多いはずです(選ぶような贅沢な悩みが持てる人もほとんどいないでしょう)。そのため、研究レベルも遜色がないものになります。
まれに旧帝国大学の教授が東京大学の教授に異動してくることもあります。このため、まったく差がないわけではありませんが、学生の皆さんが漠然と思っているほどではないと思います。
私立大学
私は関東出身なので、受験時には東京大学が一番で、その次に慶応や早稲田などのトップ私立大学、東工大を含めてその他の国立大学はその下(あるいは慶応早稲田と同じ)という認識でした。この認識は現在の受験シーンでも変わらないでしょう。
しかし、こと科学研究に関して言えば、慶応や早稲田などのトップ私立の存在感は薄いです。もちろん、私立大学にも立派な研究をされている先生がたくさんいますが、学会内での勢力としては非常に小さいです。
それでも、私立大学の中では東京理科大の名前はよく見ます。活発に研究をしている先生の数が多いのだと思います。東京理科大は学科数も多く、そもそも研究室の数が早稲田大学や慶応大学などのトップ私立と比べて多いかもしれません(数字情報は持っていないので、確信はありません)。
このため、私立大学で研究を行うのであれば、慎重に研究室を選ぶ必要があると思います。熱心に研究を行っており、活発に成果を上げている研究室かどうか見極める必要があります。
また、下記に記すように大学院から上記の旧帝国大学や東工大に移るという選択肢もあります。国立と私立では経済的負担も違いますし、大学院での2年あるいは5、6年における経済的負担の違いは、あなたの親御さんやあなた自身の奨学金の負担の違いに効いてくるということは意識しておいた方がよいでしょう。
大学院から旧帝・東工大に入る
現在旧帝国大学や東工大以外の大学に通っている大学生や、現状の学力では合格が難しいと感じている受験生の方は、大学院から 旧帝国大学や東工大 に進学することも一つの手だと思います。学歴ロンダリングなどと言われることも多いですが、やはり、大学院からでも旧帝や東工大に移った方が研究的には有利だと思います。
よく言われていることではありますが、これらの大学への入学は、学部からよりも大学院で入学する方が遥かに容易です。また、大学からの入学では希望の学科に進学できない場合もありますが、大学院入試は基本的に学科ごとに行われているので、希望する学科に確実に入れるメリットもあります。
総研大という選択肢も

皆さんは総研大という大学院大学をご存知でしょうか?
総研大は「総合研究大学院大学」の略称です。総合研究大学院大学は国内の有名な研究施設などが大学院生の教育にあたる大学院大学(学部の設置はなく、大学院のみ)です。
総研大に参加している研究施設には、分子科学研究所、高エネルギー加速器研究機構、国立天文台、宇宙科学研究所など国内の錚々たる研究施設が並びます。このような研究施設で研究を行えるわけですから、研究環境としては申し分ありません。
デメリットとしては学生の数が少ないことが挙げられます。このため、周りは大人の研究者ばかりの環境の中で研究を行うことになり、メンタル面で辛くなることもあるかもしれません。また、通常の大学とは異なるため、就職活動の情報が乏しい環境でもあります。
元々博士をとるような研究者を養成する大学院という位置づけですので、研究者を目指す上では素晴らしい環境だと思います。
研究室次第という面も忘れずに
最後になりましたが、当然の注意をしておきます。
研究室のレベルは結局は研究室次第ということです。大学の名前がある程度最低基準を保証してくれることは期待(これは就活における学歴フィルターと同じですね)されますが、絶対ではないということです。この辺りは運の面もありますが、事前に評判を探るなどの努力をしておきましょう。一般に極端に学生の数が少ない研究室などは何か問題があるかもしれません。
まとめ
今回は研究者を目指す学生さんが、どのような大学に行くべきなのか解説しました。当然ながら大学としてレベルの高い場所に行くことが一番ですが、必ずしも大学入試のレベルとは一致していないことには注意が必要です。また、研究者を養成する大学院と言ってもいい総合研究大学院大学についても、注目していいのではないかと思います。



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